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未経験からエンジニアとしてSESに入るのはあり?【元SIer目線から考える】

こんな疑問に答えます

未経験からエンジニアとして働きたいんだけど、SESは悪い評判が多い…

やっぱりSESに入るのってダメなの?

未経験の人ほど、どうやってIT業界に入るのか、どんな企業に入ればいいのかなど疑問は尽きませんよね。

私は新卒で大手のSIerと呼ばれる企業に入り、現在はAWSという技術をメインに受託開発をしている企業へ転職しました。

転職を考える中で、エンジニアのキャリアについても考え直した際、SESで働くメリットについても考えることがありました。

先に結論を言えば、「エンジニアとしての未経験からSESで働くのはアリ」だと思っています。

本記事では、その経験を踏まえて未経験からエンジニアとして働く場合、SESで働くことはありなのか?というテーマについて考えてみます。

エンジニアとして働きたいと考えている人は、IT業界がどういった場所なのかを理解できていない人も多いと思います。

そんな人はこの記事からエンジニアとしての1歩を踏み出す道筋がつかめるかもしれません。

未経験からエンジニアに転職するにはどんな方法があるか?

未経験から転職してエンジニアになるには、主に2つの方法があります。

  1. 完全未経験から転職
  2. プログラミングスキルを身に着けて転職

この2パターンに大別できると思います。

完全未経験から転職

これはプログラミングの知識がない状態で、IT業界へ入ってくるパターンです。

IT業界を知らない人は、絶対に独学でプログラミングなどのスキルを身に着けないとダメ、と思っているかもしれませんが、それは違います。

こういった未経験者を採用してくれる可能性があるのが、一般的にSESと呼ばれる企業です。

後で詳しく解説しますが、全くのIT素人でも採用してくれる可能性があります。

プログラミングスキルを身に着けて転職

プログラミングを独学やスクールに通って転職する方法です。

一般的にはこちらがイメージしやすいかもしれませんね。

  • 自分ひとりで黙々と独学でプログラミングのスキルを身に付けて、それを武器に転職活動をする。
  • プログラミングスクールに通ってスキルを身に着けて、スクール経由もしくは自分で転職活動をする。

こういったプログラミングスキルを前提に転職をする方法では、受託企業や自社開発している企業も採用してくれる可能性があります。

受託・自社開発の場合は即戦力が前提となるので、ある程度のスキルを持っていないと採用されることはありません。

そのため、未経験でエンジニアとして働き始める選択肢は自然とSESになります。

SESであれば、未経験でも就職しやすい?

SES場合は未経験からでも入りやすいです。

理由はSESは技術力がメインではなく、労働力を提供しているからです。

SESとは?

SESとは?

SES(システムエンジニアリングサービス)とはソフトウェアやシステムの開発・保守・運用における委託契約の一種であり、特定の業務に対して技術者の労働を提供する契約です。

ELITE Networkより引用

SESとは契約形態のことで職種ではありません。

簡単に言えば、システムを作るときに人手が足りなくなったとき、労働力を提供する人をSES契約で雇うと思って下さい。

派遣と似ていますが、契約が異なっていて、あくまでも自分は雇用されている会社からの指示しか受けません。

実際はこのあたりが曖昧になっている現場もあったりしますが…

他にも細かい違いはありますが、「労働力を提供するためにお客さんの拠点に常駐して仕事をする」のがSESです。

SESのメリットとデメリット

IT業界の労働力として働くことになるSESですが、そのメリット・デメリットについて見ていきましょう。

SESのメリット

SESで働くことのメリットは、以下の点です。

  1. 未経験からエンジニアとして入社できる
  2. 様々な現場で幅広く技術に触れることができる

 

メリット1:未経験からエンジニアとして入社できる

これが最も大きなメリットですね。

SESはエンジニアとしての技術を労働力として顧客に提供するのですが、最低限のスキルについては入社時の研修で身に付けることができます。

言ってしまえば、最低限のITスキルがあれば、あとは現場で学ぶことでこなせる業務が多いという裏返しですね。。

多くの場合、需要が多いJavaやPHPといったプログラミング言語を使った研修が組まれていることが多いようです。

未経験で挫折しがちなプログラミングの基礎を「給与を貰いながら」、研修で学ぶことができるというのは大きなメリットです。

メリット2:様々な現場で幅広く技術に触れることができる

SESは労働力を提供する契約のため、社員たちは様々な現場を転々としながら働くことになります。

そのため、1箇所の現場にいる期間はそれほど長くないため、様々な現場を経験しながら幅広い技術に触れることができます。

こうした機会を得ることができるというのも1つのメリットですね。

SESのデメリット

逆にSESのデメリットを見ていきましょう。

  1. 給与が低い・上がりにくい
  2. 枯れた技術しか学べないことが多い
  3. 労働環境は現場に左右される

デメリット1:給与が低い・上がりにくい

SESのデメリットは給与面の待遇があまり良くないことです。

これはIT業界の仕組みに関係していて、SESの人の仕事というのは基本的に2次受け、三次受けといった下流の仕事を受けることになります。

どうしてもSIerの業界にいると、この構造からは抜け出せず、給与を上げたいのであれば、元請けである大手SIerに転職するしかありません。

SESはこうした大手SIerから仕事を受けている以上、マージンを取られてしまうため、給与を上げていくことが難しい現状があります。

枯れた技術しか学べないことが多い

2つめのデメリットは「枯れた技術しか学べない可能性があること」です。

枯れた技術というのは、古くからある技術をIT業界では「枯れた」と表現します。

大手SIerは仕事を受注する際、必ず依頼元と納期を設定している関係で、どうしても採用する技術が「実績があるもの」に偏ります。

この関係で、SESとして現場に入ると、枯れた技術で動いているシステムの保守や、枯れた技術を採用した案件にしか入れないということも多いです。

自社サービスを展開している企業であれば別ですが、SESとして客先常駐している場合新しい技術に触れられる機会はほとんどないと思って下さい

枯れた技術は相対的に市場価値が低く、新しい技術は市場価値が高くなる傾向があるため、枯れた技術しか学べない環境はデメリットになります。

労働環境は現場に左右される

3つ目のデメリットは「労働環境が現場に左右されてしまうこと」です。

SESの仕組み上、どうしても客先常駐となってしまうため、案件ごとの進捗で忙しさが変わります。

炎上している案件であれば残業や休日出勤もありますし、ろくに休めないという現場も合ったりします。

逆にそこまでスケジュールが押していない案件であれば、日々定時に帰ることができる現場もあったり。

本当であれば雇っている企業が管理すべき部分ですが、仕事を発注している側と受けている側ではどうしても立場が弱くなるためこうしたことが起こってしまいます。

SESとして働くのであれば、労働環境については運に委ねるしかありません…

未経験からSESにいくのはあり?なし?

ここまでメリットとデメリットを考えてきましたが、私の考えは「エンジニアとしてのファーストステップとしてはアリ」です。

理由としては、メリットでも書いたように「未経験からでも参入できる」ことに加えて、「研修で最低限のプログラミングスキルを学ぶ」ことができるからです。

給与を貰いながら勉強できる環境というのは他にない特権ですよ。

研修で学ぶことができる言語がJavaやPHPであれば、その経験からPythonやRubyといった比較的新しい言語にシフトするのも容易です。

そのため、未経験がエンジニアとしてのキャリアをスタートさせる環境としてはアリかなと考えました。

ただし、「SESで働き続けることについてはナシ」だとも思っています。

やはりSIerの構造上、SESは下請けの仕事を受けざるを得ないことや技術を選んで仕事ができないというのは、スキルアップには向きません。

運良く案件ガチャで新しい技術を採用している案件に入ることができれば別ですが、そういった例は稀です。

できれば研修後の現場では、開発をやらせてもらえるようにお願いして、ダメであれば業務と平行してポートフォリオ作り&転職活動に取り組むというのがベストですね。

転職先はなるべく受託・自社開発企業を選び、新しい技術を業務で使える環境へ移っていくことをオススメします。

くれぐれも「3年いれば開発ができるよ!」なんて盲言には付き合わないようにしましょう。

まとめ:SESはアリ!けど将来的なキャリアはしっかりと考えて。

本記事では、経験からエンジニアとして働く場合、SESで働くことはありなのか?というテーマでお話しました。

要点をまとめます。

要点まとめ
  • SESはエンジニアとしてのファーストステップとしてはアリ
  • 将来的には市場価値が上がらないので、転職を見据えた行動が必要

もちろんここでお話したSES像が全てではなく、もっと先進的な取り組みをして働きやすいSESを提供している企業もあります。

しかし、大半はこうしたSIerのピラミッド構造から給与や労働環境が左右されてしまう現状も間違ってはいないと思います。

未経験から入るのであれば、SESをステップアップの1段目として活用し、次のステップを踏まえて行動する心構えをしておきましょう。

SESは悪だと言われますが、うまく利用することでエンジニアとしてキャリアを築くことは可能です。

 

やっぱりSESは不安だな…という方は独学で学習する道もありますので、こちらの記事を参考にしてみて下さい。

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