キャリア

SIerでスキルアップは狙うのは正しいのか?SIerから転職した視点から考えてみる

こんな疑問に答えます

今SIerで働いているけど、このままエンジニアとしてスキルアップできるのかが不安…

私も元々SIerで働いており、こういった不安は常につきまとっていました。

IT業界で働いてはいるけれど、なかなか技術力が付く仕事ができなかったり、参考になるようなロールモデルになる人がいなかったりしますよね。

本記事では、SIerから転職した私の視点からSIerでスキルアップを目指すのはどうなのか?SIerではどんなスキルが身につくのかについて解説します。

少しでも同じような悩みを抱えている人の参考になれば嬉しいです。

結論としては、スキルアップの方向性がマネジメントではなく、技術に向いているのであれば、SIerに残るのではなく転職するほうが成長が早いです。

それでは詳しくみていきましょう。

SIerで働いた3年間で身についたスキル

まずは私がSIerで働いていた時期に身についたスキルについて洗い出してみました。

銀行系のシステム担当時期

このときは研修を終えた後の配属で、1年ちょっとを銀行システムの更改案件に携わっていました。

規模が大きく、1つの課に対して十数人の協力会社が付くという状態だったので、私の業務は課題に対して協力会社がしっかりと対応を進めているかというタスク管理でした。

この時期にはエンジニアとしての技術力が高まることはほとんどなく、強いて言うなら手順書通りにUnixのコマンドを少し打ったくらいですね。

この時期には最低限のビジネスマナー、Excelの使い方などが身についた時期です。

新しい技術を推進する部署で幅広く担当した時期

その後運良く会社として新しい技術としてAWSをキャッチアップしていかなければならないという方針が出たタイミングで、推進する部署へ異動することができました。

それまでインフラとは?という状態でAWSを勉強し始め、約1年半程度社内のAWS案件のお手伝いをしたり、社内のルール整備について考えたりと幅広く担当しました。

実務として開発に入ることはほとんどありませんでしたが、AWSに対する知識やSIerならではのセキュリティ意識がとても強く身についた時期です。

結果的にこの時期の経験を元に転職活動をすることになりました。

セキュリティ、ガバナンスといった大企業で重視される点に加え、AWSの知識が身についた時期だと思います。

SIerにおける「スキルアップ」とは

私の経験やSIerにいた周囲の人、会社の方針をみて「SIerにおけるスキルアップ」について考えてみます。

マネジメント能力が評価対象

SIerは昔から上流工程を担当するもので、開発以降の下流は下請けがやるものという文化が残っています。

そのため、社内のキャリアパスにはマネジメントとしての評価のみがあり、エンジニアとして技術力を高めても評価はされません。

結果的に社内にいる人のほとんどは技術に興味はなく、人さえ集めればWBS管理と進捗報告はできますというマネジメント寄りの人材が大半を占めていました。

キャリアパスにそういった業務が評価される傾向があり、社内のロールモデルがマネジメントしかないので、「SIerにおけるスキルアップ=マネジメント」という形になっていました。

技術力は評価できる人がいない

もちろん技術力を身に着けたところで意味がないのか?といえばそうでもないのです。

ただし私のいたSIerでは、その技術力が活かされる部所はごく一部であり、ほぼ全ての管理職はその実力を評価できません。

今の40代50代という管理職の世代は業務で技術力を高めるキャリアを通っている人がいないためです。

そのため、SIerにおけるスキルアップとはマネジメント能力や実績を積むことであり、新しい技術を学び活かすことではないと思っていいです。

私が配属された部署は技術よりの人が多かったですが、他現場に近い全ての部署はマネジメント優位が圧倒的でした。

転職してから気付いた「SIerだからこそ身についたスキル」

ここまでSIerにおけるスキルアップとはマネジメントだといいましたが、細かいスキルについて考えていくと、いくつか身についてよかったと思えるスキルがありました。

  • ドキュメント作成
  • 命名規則などのルール
  • 手順書などリリースに向けた準備

これらはSIerにいたときには気づかなかったんですが、転職先で評価されたものです。

ドキュメント作成

SIerではシステムを納品するのと一緒に大量のドキュメントを作成します。

理想としてはもっとドキュメントを減らして素早く納品するのがいいのでしょうが、文化として各工程ごとにきっちりとドキュメントを作成していきます。

この工程を経験しているおかげで、現在の職場では簡単に作ったドキュメントでも丁寧だと評価されることが多いです。

SIer以外で働いている人は、そこまでドキュメントを綺麗に作成する必要がない場合が多く、こういったスキルを持っている人は少数です。

その意味でもSIerの外に出て差別化できるポイントにはなりました。

命名規則などのルール

SIerでは最初に明確な命名規則を決めてからドキュメントや開発に入るので、何事も命名規則を考えてから作成する習慣が付きました。

これは転職時の実技試験で評価されたポイントで、意外と細かいところまで命名規則を決めてからドキュメントやコードを書くという習慣がない人もいるようです。

手順書などリリースに向けた準備

リリースに向けてきっちり手順書を作り上げるというのもSIerにいると自然と身につきます。

これもSIerはしっかりと作らされるので、基準となる手順書の粒度が非常に細かいレベルになりました。

全てのコマンドは一字一句間違えずにコピペできるようにして、その手順書があれば誰でも作業ができるようにしておくのはSIerの特徴だと思います。

こういった準備も含めた細かい部分まで確認するという習慣というのは、SIerから出た後でも需用がありました。

 

これらの技術はSIer以外ではあまり重視はされませんが、ある方が役にたったなという印象はあるスキルです。

マネジメントより技術力のスキルアップを狙うなら

自分のキャリアプランとして、マネジメントのみでいくのではなく、技術力を高めたいと思うのであれば、最終的にはSIerから離れる必要があると思います。

それは、ここまでお話した以下のような理由があるからです。

  • 技術力を評価してくれる環境がまだまだ少ない
  • 評価体制が整うには時間がかかる
  • 評価者となる技術力が高い人はSIerには少ない
  • SIerよりもWeb系など外の人材のほうが圧倒的に技術力が高い

全てのSIerがそうではありませんが、当てはまる環境の方も多いのではないでしょうか。

技術力を高めるためのスキルアップ環境としては、いい環境とは言えないのでなるべく早く技術力が高い会社へ移ることをおすすめします。

まずは社内の新しい技術を採用している部署へいく

もしあなたに外部で需用がある技術について実務経験がないのであれば、社内に興味のある技術を扱っている部署へ異動しましょう。

私の場合は運良く異動させてもらうことができ、AWSの知識を身につけることができました。

簡単に異動なんてできない、という人も一度上司に相談するのをおすすめします。

私の周りにも会社をやめようか悩んでいるという相談をした人が、結果的には希望部署へ異動させてもらえている例がいくつかありました。

会社としても採用までにかけているコストがあるため、辞められるくらいなら異動させたほうがいいと判断してくれるかもしれません。

とにかく現在の業務でスキルが身につかないと感じている人は、ダメ元で行動してみましょう。

その技術を強みにしている企業へ転職

もし転職できる技術へ知見がある、もしくは異動して知見が溜まったなら、ある程度のところで見切りをつけてその技術を強みにしている企業へ転職しましょう。

異動した結果新しい技術を学ぶことができて、まだたくさん学べることがあるとおもうかもしれませんが、転職してしまったほうがスキルアップの速度は早いと思います。

SIerではどうしてもこれまでの慣習から1つの案件に対する時間が非常に長くかかり、担当できる案件数は多くありません。

しかし、SIer以外のIT企業は動きが早く、高速で案件を回しているので数倍の速さで実務経験を積むことができます。

転職してみて分かりましたが、全く進む速さが違うため、スキルアップしたいと考えるのであれば、早めに行動していきましょう。

まとめ:技術のスキルアップを目指すならSIerから脱出しよう

本記事では、SIerから転職した私の視点からSIerでスキルアップを目指すのはどうなのか?SIerではどんなスキルが身につくのかについて解説しました。

要点をまとめます。

要点まとめ
  • SIerにおけるスキルの評価は技術<マネジメント
  • 長期的にみて、SIerの体制は変わらない
  • スキルアップを狙うなら、社内異動から転職

もしあなたがエンジニアとしてスキルアップをしたいなら、最終目標はSIerから転職することを目標にしましょう。

転職してみて気づきましたが、SIerとはまったくビジネスの速さが違うので、エンジニアとしてのスキルアップの速度も全く違ってきますよ。

社内異動すら難しい…という場合は独学で身につけるかプログラミングスクールを活用してスキルを身につける時間を作っていきましょう。

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