今の業務で技術力が身につかないことにもやもやする…SIerにいると技術力を高めることはできないの?
結論から言えば、ほとんど人はSIerで技術力を身につけ、高めていくことは難しいです。
私は元々大手のSIerに3年間勤めていましたが、現在は受託会社で技術力を高めることができる環境で仕事をしています。
本記事では、SIerにいた経験を元に、「SIerでは技術力を高めることができない理由」について解説していきます。
今SIerで働いていて技術力を高めたいと考えている人は、この記事を読んで自分の環境について振り返ってみて下さい。
もし当てはまることが多いのであれば、自分のキャリアについてしっかりと考える機会として頂ければ嬉しいです。
SIerでは技術力を高めることができない5つの理由

さっそくですが、SIerでは技術力を高めることができない理由について紹介します。
私が考える「技術力を高めることができない理由」は以下の5つです。
- 枯れた技術の採用
- 開発丸投げ
- マネジメント重視のキャリア
- ドキュメント作成業務の多さ
- 技術好きの少なさ
これらの理由は、あくまで私の経験を元にしていますが、SIerにいる人は同じようなことを感じることも多いのではないでしょうか。
それぞれ解説していきます。
理由①:枯れた技術を採用
SIerでは枯れた技術を採用する傾向が強いことです。
理由は、元請けであるSIerが受注する際に納期も一緒に決まっていることから、マネジメントする側がなるべくリスクを取らずにプロジェクトを進めたいと考えるからです。
SIerでマネジメントしている層は、基本新しい技術を採用することよりも、システムを納期に間に合わせることが大事なので。
こうした傾向から、多くのプロジェクトでは実績のある枯れた技術を採用する傾向が強く、なかなかSIerにいても技術力を高める機会はありません。
理由② 開発丸投げ
大手のSIerは開発を下請けに丸投げする文化があります。
もちろん全てのSIerがそうではありませんが、少なくとも私のいたSIerでは行われていていましたし、できたとしても最初の2年程度ではないでしょうか。
大手のSIerでは昔から顧客折衝や要件定義、設計などの上流工程を担当し、開発やテスト以降の下流工程については2次請け以降に流すのが一般的です。
そのため、SIerで働く人に開発業務が回ってくることは少なく、入社から数年経つと自然とマネジメントの業務をやらされることに…
こうした開発を丸投げする文化から、技術力を高めるための機会が得られないことが多いです。
理由③:マネジメント重視のキャリア
SIerではこれまで上流工程とマネジメントがメインの業務とされてきたため、キャリアパスもマネジメントしか用意されていません。
いくら技術に強くても、SIer企業が用意する将来的なポジションはプロジェクトマネージャーです。
理由は簡単で、開発は丸投げする文化のため、上流を担当するSIerほどマネジメントが主な業務になるからです。
こうした背景から、SIerでは「マネジメント」のキャリアパスのみが用意されていて、技術に強い人のためのキャリアパスはありません。
そのため、SIerでは技術力を高めるための制度もないので、技術力を高める機会は企業から提供されないことも理由の1つです。
理由④:ドキュメント作成業務の多さ
SIerではとにかくドキュメントの作成業務が多く、技術に向き合う時間も短くなるため、技術力を高める環境ではありません。
SIerでは仕事を受注するとき、多くのドキュメントを納品することも仕事の1つです。
基本設計、詳細設計と進んでいくプロジェクトの成果物が、ExcelやWordなどのドキュメントになります。
各工程ごとに納品するためのドキュメントを作成する必要があるため、SIerの業務の大半はドキュメントの作成に費やされます。
さらに、社内のプロジェクト進捗報告でもPowerPointを使って上席に報告するなど、とにかくドキュメントが多いです。
技術力を高める業務に従事できないため、SIerでは技術力を高める環境ではないと言えます。
理由⑤:技術好きの少ない環境
SIerはIT企業ではありますが、これまで説明してきたとおり、マネジメント寄りの傾向が強いため、技術好きという人が周りにほとんどいません。
年次が上がるごとにその傾向は強くなり、プライベートで技術について調べる人はまったくいなくなります。
また、技術が好きな人ほど新卒でSIerに入ろうという人もいません。
技術な好きな人にとってはマネジメントよりも開発をしたいので、さっさと転職してしまうのも技術好きが少ない原因ですね。
技術好きが周りにいるという環境はとても大事で、会話で技術について話す仲間がいれば、自分も技術力を高めようとする意識が強くなります。
その反面、周りに技術力を高めようとする人がいなければ、プライベートで勉強しようというモチベーションも湧いてこないでしょう。
SIerの技術が好きな人が残らず、新しく入ってくることもない中で、技術力を高めようと思っている人には良い環境とは言えません。
技術力を高めたいなら、SIerから離れよう

ここまで説明した通り、技術力を高めたいと考えている人には、SIerは良い環境とは言えません。
そのため、少しでも早くSIerを離れて自分のやりたい技術が使える環境に転職することも考えていきましょう。
技術力を高めるという点では、Web系へ進むのが一番オススメです。
私の場合は、AWSというパブリッククラウドについて実務経験を積んで技術力を高めたいと思ったので、AWS専門にしている受託企業へ転職しました。

SIerでも技術について学べる機会はゼロではありませんが、実務経験と成長を考えれば、技術力という面では圧倒的に非効率です。
早い段階でSIer業界の外に出られるよう、求められる能力や技術レベルについて情報収集を進めましょう。
まとめ:SIerは技術力を高めるには非効率です
本記事では、SIerにいた経験を元に、「SIerでは技術力を高めることができない理由」について解説しました。
要点をまとめます。
- 枯れた技術の採用
- 開発丸投げ
- マネジメント重視のキャリア
- ドキュメント作成業務の多さ
- 技術好きの少なさ
SIerに入ってから技術に興味をもった人、もっと技術に関われると思ってSIerに入ったという人もいるでしょう。
もし技術力が身につかない環境に不満があるのであれば、それは恐らく今後も続くと思います。
一度自分のキャリアについて考えてみて、「少しでも技術力があったほうがいいな」と思ったのであれば、なるべく早く行動しましょう。
転職市場では若ければ若いほど転職の成功率も上がります。
企業に依存しない生き方をしたくない人は、一緒に技術力を身に着けていきましょう。
読んで下さりありがとうございました。