キャリア

SIerがオワコンと言われるのはなぜ?その3つの理由とSIerの今後

こんな疑問に答えます

SIerがオワコンと言われているけど、その理由ってなに?今後SIerはどうなるの?

SIerに就職しようとしている、SIerにいる人は世間で言われている「SIerはオワコン」というのを聞いたことがあるでしょう。

私もSIerに新卒で就職したときにはあまり深く考えていなかったため、その理由を理解できませんでした。

しかし、SIerで3年働き転職した今ではSIerがオワコンと言われる理由も納得できます。

本記事では、「SIerがなぜオワコンと言われるのか?」というテーマでその理由と今後について私の考えを紹介します。

SIerはIT業界にいないといまいちイメージが付きづらく、なぜダメなのかが分かりにくいです。

この記事を読むことで少しでもSIerがオワコンと呼ばれる理由を理解して、今後のキャリアについて考えるきっかけになれば嬉しいです。

結論としては、SIerに就職・居続けることはリスクが高いです。

その理由をご紹介します。

SIerとは?仕事内容と構造

SIerがオワコンと言われる理由の前に、SIer業界について前提知識を知っておきましょう。

SIerとはシステムインテグレーション(System Integration)の頭文字に「er」という「~する人」を組み合わせた和製英語です。

SIerはシステム構築を請け負う

SIerの仕事は発注元から依頼を受けて、システムを構築を請け負い納品する会社のことです。

発注元は自分の親会社であったり、公共機関、他企業と様々です。

そういった発注元は自分の組織内ではシステム構築ができる人材などがいないため、SIerに外注します。

SIerはこういった依頼を受けてシステムを構築する仕事をしています。

SIerの多重下請け構造

SIerで一番叩かれているのが「多重下請け構造」と呼ばれる業界の仕組みにあります。

SIer業界にいればほとんどこのピラミッド構造の中のどこかに入ります。

  • 1次請けと呼ばれる大手のSIerが仕事を請け、要件のすり合わせや設計。
  • 下流工程と呼ばれるプログラミングやテストはそれ以降の下請けに外注。

こうして、1つのシステムを構築するまでに規模に応じて外注を繰り返すのが、「多重下請け構造」です。

当たり前ですが、一番利益を出すのは1次請け、2番めが2次請けと下に行けばいくほどマージンを取られるため、3次請けで働くひとは給与が低くなります。

人月商売

SIerでは人月という単位で人を扱います。

  • 10人で1ヶ月かかる仕事 = 10人月
  • 1人で10ヶ月かかる仕事 = 10人月

この人月で計算する方法ですが、個人の能力差が全く考慮されません。

仕事を請け負う見積もりを出す時点で、誰がどんな仕事をやるかが決まっていないためにこの計算方法が使われます。

人の能力によって作業の効率は大きく変わるのは当たり前ですが、SIerではそういった個人の能力を考慮しない考え方で仕事量を計算します。

よって、下請けに流す仕事は誰がやっても同じになるように標準化され、「言われたことを言われた通りにやること」が正義になります。

SIerがオワコンと言われる3つ理由

それではなぜSIerがオワコンと言われるのか。

それには3つの理由があります。

  1. 個人の軽視による人材不足
  2. スキルが身に付かない環境
  3. クラウドサービスの発展

個人の軽視による人材不足

先程話したように、SIerは人月単位で案件に人をアサインしていきます。

そのため、マネジメント層の最初の見積もりでは、机上でどの程度の人月が必要なのかを計算します。

その際に、予定していた人員で足りなければ社内、もしくは下請けから人を集めなければなりません。

このとき個人のキャリア選択、扱いたい技術などは考慮されることはなく、とりあえず入ってと言われて仕事を進めることになります。

案件の成功>個人のキャリア

これが会社として絶対であり、SIerでは納期を守ることが最も優先されるべきことです。

仕事として請け負った仕事を成功させるのは大事ですが、人月という考えに沿った人員配置により、その場しのぎで集められていてはたまりません。

こうして人が集められる案件は、炎上していて劣悪な労働環境の場合も多いです。

こうした環境で目指しているキャリアを築くことは難しいため、若手ほどSIerから離れるのが早くなります。

スキルが身に付かない環境

SIerでは大手のSIerがマネジメント、下請けがプログラミングなどの実装を担当しますが、どちらもエンジニアとしてのスキルが身に付きません。

  • 大手SIerではマネジメントのキャリアしか用意されていない
  • 下請けは設計書通りの実装しかできない

こうした環境では、技術職としてのスキルが身に付かず、関われる技術は案件次第というスキルを磨くには適さない環境です。

企業に依存しない働き方が求められる現代に、身につけたいスキルの選択ができないのは大きなリスクでしょう。

クラウドサービスの発展

クラウドサービスの発展により、SIerの需要が減ることも考えられます。

クラウドサービスはWeb上から利用できるもので、月額料金で利用できるサービスです。

特にSaaSと呼ばれる、インターネット経由でサービスを提供しているもの(SlackやBacklogなど)が増えたことによって、わざわざSIerに頼んで作る必要がなくなってきました。

また、パブリッククラウド(AWS,GCP,Azure)によりシステム構築が手軽にできるようになり、自社でエンジニアを雇う選択肢も出てきています。

こういった技術確信の大きな流れの中では、現状のSIerはオワコンと言われるのも仕方ないのかもしれません。

SIerの今後は?

SIerがオワコンと言われる理由を紹介しましたが、少し今後についても考えて見ましょう。

SIerがなくなることはない

まず、前提としてSIerがなくなるということはないです。

今後もSaaSで補えない部分や自社でエンジニアを雇っていない会社では、SIerに発注する他ないので、仕事はあるでしょう。

またこれまで大手のSIerは国や地域などからの仕事も請け負っているため、今後もその仕事は入ってくるはずです。

しかし、SIerに就職する・居続けることがいいのか、と言われればそれもちょっと怖いかなと思います。

SIerに就職・居続けることはリスクが高い

SIerがなくなることはないとしても、これからもSIerにいることは以下の理由からオススメしません。

  • エンジニアとしてのキャリア形成がしにくい
  • 市場価値のあるスキルが身に付かない
  • SIer全体としての市場が小さくなる

オワコンと言われている理由からも、今後SIerの業界が変化しない限りは人材流出が止まることはないと思います。

実際私は大手SIerにいましたが、4年目には同期の3割近くが辞めていました。

もしSIerにいて40歳程度になってしまえば、市場価値がないので転職も難しくなるでしょう。

こうしたことから、エンジニアとしてのキャリアを考えるのであれば、結論としてはSIerにいることはリスクが高いと考えています。

今後もSIerが現在の働き方、考え方を変えない限りは若手の人材流出は止まることはないでしょうね…

まとめ:SIerはなくならないが、長期的な目線ではリスクが高い

本記事では、「SIerがなぜオワコンと言われるのか?」というテーマでその理由と今後について私の考えを紹介しました。

要点をまとめます。

オワコンと言われる理由
  • 個人の軽視による人材不足
  • スキルが身に付かない環境
  • クラウドサービスの発展

こうした理由からSIerのみでキャリアを考えるのはリスクが高いです。

もし、SIerにいて現状に悩んでいるのであれば、

  • 自社開発企業への転職するためにプログラミングをする
  • 市場価値のある技術を学ぶ
  • 転職エージェントに市場価値を聞く

など行動できることから始めてみましょう。

 

 

読んで下さりありがとうございました。